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色彩鮮やかな日本海に沿って
太平洋側、もしくは海から離れた内陸部に住んでいる人は、何となく日本海＝暗いというイメージを抱いていることが多いかもしれない。しかし実際には、天気に恵まれた日の日本海は、南国の島にも負けないほどのコバルトブルーだったり、エメラルドグリーンだったりするのだ。
出発点は「ここも京都だよ」と言われなければ分からないほど豊かな自然の風景に囲まれた、丹後半島。観光客であふれる天橋立を過ぎれば行きかうクルマも少なく、伊根の集落ではクルマを入れる車庫のように一階が舟置き場になっている「舟屋」が海に向かって並ぶ光景を目の当たりにする。
丹後半島から続く断崖絶壁、もしくは荒々しい岩場は、まるで日本海の荒波から大地を守っているかのよう。そしてそこに打ち寄せる波は、吸い込まれそうな美しい青に染まっているのだ。小さな峠を越えればまた次の小さな集落が現れ、また美しい海に見ほれる……そんな繰り返しに飽きることなく、海際のルートハンティングを続けながら西へと進む。
やがて現れるのが、一転して広大な砂の広場、鳥取砂丘である。この険しい岩場と大砂丘の織り成す風景の劇的な変化もまた、山陰の魅力のひとつである。
さらに西を目指せば、まるで通せんぼするかのように立ちはだかる大山の山々。美しい青に染まる日本海とは対照的に、夏は深い緑に覆われた大山は、やがて黄色や赤に染め上げられる紅葉の時期を迎える。そして、山々が深い雪に閉ざされようとする頃には、山陰の日本海にも厳しい季節風に吹き寄せられた荒波が続々と押し寄せてきて、ともにモノクロ調の景色となることだろう。
そんな厳しい季節が来る前に、風光明媚で色彩豊かな山陰地方の海と山を、そして、歴史ある外湯巡りを楽しめる城崎温泉などの名湯を堪能するツーリングに出かけてみてはいかがだろう。
今回のツーリングスポットはこちら！
- 七坂八峠
- 三朝温泉（旅館大橋）
- 伊根の舟屋
- 鍵掛峠
- 鳥取砂丘
- ひるぜんジャージーランド
- 城崎温泉（三木屋）
- 琴引浜温泉
レポート●廣瀬達也 写真●平島 格／八重洲出版
※本記事はモーターサイクリスト2021年10月号に掲載されたものを再編集しています。店舗情報などは取材当時のものです。
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日本海の美しさを実感しながら、のんびりと旅をする
七坂八峠
国道178号の旧道、但馬漁火ラインで居組集落を抜け西に進むと、曲がりくねって標高を上げる道が現れる。正面に不動山、手前に居組漁港を望む景勝地で、夕方には美しい夕日を眺められるスポットとしても人気。
三朝温泉（旅館大橋）
世界でも有数の、高濃度のラドン含有量を誇る放射能泉で心身を癒やしてくれると評判の温泉。名前の三朝とはここで3回目の朝を迎えるほどゆっくり湯を楽しめばすっかり元気になれることが由来とされている。昭和7年完成の旅館大橋（☎0858-43-0211）は、本館などが国登録有形文化財に指定されている。
伊根の舟屋
丹後半島の西端、伊根浦の漁港には、1階部分が舟の収納庫になった独特な2～3階建ての家がズラリと隙間なく並んでいる。そのノスタルジックな風景は「重要伝統的建築群保存地区」に指定されている。
鍵掛峠
大山の南に位置する峠で、見る位置によって山容を変化させる大山がここでは屏風のように横長に見え、荒々しい山肌が迫力いっぱい。紅葉の時期の美しさが格別だ。
鳥取砂丘
日本ではトップクラスの広さを誇る、おなじみの鳥取砂丘。
オススメグルメ「ひるぜんジャージー牛」
蒜山の高原地帯にある牧場、ひるぜんジャージーランド（TEL：0867-66-7011）のレストランなどでいただくことができる。
城崎温泉（三木屋）
昔ながらの雰囲気が漂い、外湯巡りを楽しむ観光客のゲタの音が心地良く響く温泉街が有名。写真は三木屋（TEL：0796-32-2031）のひいらぎの湯。
琴引浜温泉
鳴き砂の浜の一角にある無料の露天風呂。脱衣所などの設備はない。
日本海岸沿いは走りやすい
天橋立から北は交通量が大きく減少して走りやすい。
時に行き止まりの小さな漁港に迷い込むこともあるかもしれないが、迂回路や小道を探すなどして海沿いに西へと進めば不思議な形をした岩場などが続々と現れ、また、目にも鮮やかな美しい海と砂浜も登場するなど飽きさせない。
鳥取西端まで行ったら、ついでに「ベタ踏み坂」の江島大橋も訪れてみよう。
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