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日本最大の大地、北海道―。どんなに時間が流れ、世代がうつろいゆこうとも、ここがライダーのあこがれの地であることに変わりはないだろう。フェリーもロングツーリングも未体験の私が、海を越え、SR400とともに最北の地へ向かう。なにもかも初めてづくしの北海道ツーリング。目にする光景のすべてがまぶしかった。
写真・キャプション=武田大祐:タンデムスタイル創刊から本誌を撮影。正統派ツーリング企画からタンスタ特有の変わり種企画で 歴代編集長のあられもない姿を撮影し続けてきたカメラマン
ライダー・文=福本優香:バイクに乗っていることが楽しくてしょうがないバイク女子。とくにヤマハのSRがお気に入りで、初のマイバイクもSRを購入したほど。空手歴10年の黒帯で、得意技は上段回し蹴りだとか。そんなわけで、好みのタイプは北斗の拳のケンシロウだそうです
※本記事は2019年5月24日発行タンデムスタイルの企画をベースにしています
今回のツーリングスポットはこちら
- 苫小牧西港フェリーターミナル
- 海の駅 ぷらっとみなと市場
- 旭岳/十勝連峰
- 大雪地ビール館
- 上川倉庫群
- 道の駅 絵本の里けんぶち
- オロロンライン
- モモちん
- 蝦名漁業部(甘えびファクトリー)
- オトンルイ風力発電所
- ノシャップ岬
- 利尻富士(利尻山)
- 北防波堤ドーム
- 稚内駅
- 北門神社
- 宗谷岬
- オホーツクの味覚
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私はこれから初めて北海道を走るんだ!
人生で一度はやってみたいバイク旅。目指すのはニッポンの最北の地『宗谷岬』。自分が生まれ育った日本という国の一番北。そこはどんな景色なのか。最北端には何があるのか。どんな歴史をたどってきたのか。そんな想いを原動力に、私は相棒SR400と共に走り出す。
ということでタンスタ読者の皆様、こんにちは! 福本優香です!! 時間さえあれば見知らぬ道を気持ちのままに走っているバイク初心者です! 普段はバイク番組のアシスタントやイベントに出演しています。愛車はSR400 40th anniversary edition。旅立ち数日前、なぜか急きょこの北海道旅に抜擢されました。思わず飛び跳ねて喜び、その日からやる気に満ち満ちていました。とはいえ、まだまだツーリングの経験が浅く、未熟者の私は初の北海道ツーリングを前に、困惑と動揺を隠せないのでした…。
そもそも私はフェリーに乗ったことがないので、仙台港から苫小牧港まで30分程度だろうと軽く考えてました。しかし、たった30分で到着する訳はなく、聞けば北海道まで560㎞。時間にすると約15時間かかるそうです。ウソでしょ!? 信じられない…。仙台港に着くと、さっそくクルマやバイクの積み込み。せわしない指示やアナウンスが飛び交う。これが普通なの…? 私は仙台港に鳴り響く館内放送を聞き逃さないよう、ドキドキしながら耳に力を入れ、指示に従って動いて、無事にSRと太平洋フェリーの『きそ』に乗船できました。あぁ、緊張した…。
車両甲板から客室へ向かうと、そこはもう別世界。船内とは思えないくらいゴージャスな雰囲気。おいしい食事にラウンジショーまで。フェリーの移動時間が30分じゃなくてよかった!
苫小牧西港フェリーターミナル

仙台港から快適な船旅を楽しんで、ついに苫小牧に上陸。ここから目指す日本のテッペンまで400㎞以上。がっばていこうね、SR!!

フェリーの乗船時間って30分くらいかと思ったら、なんと15時間でした!? 早朝、フェリーの甲板に出てみると、北海道の大きな山脈が見えた! 心躍る瞬間!!
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苫小牧に到着! いざ最北端の地へ!!
初めての船旅を満喫して、ついに北海道に上陸しました。さぁ、準備はいいかい? 私は今から向かう北の山々に視線を向ける。相棒
SRとあのまっ白な山々を越えて、もっと先に進み、ついには先がないところまで行く。自分が知らなかった世界を知る。勝手に上昇する心拍数やこの胸の高まり、気が付けばサビかかっていた冒険心が、再び動き出す。まだ道路の端にたくさんの雪が残っている道央道を走り、北海道のまん中へ。北海道はすごく広くてとても今日中には着けないため、今夜は旭川に宿泊。宿に荷物を置き、街へくり出す私。北国の夜は、街灯が白い雪を照らし、通りをより明るくしていました。
それにしても、ほんの数日前まで北海道にいるなんて思いもしなかった私が、今北海道をバイクで旅している。なにか不思議な運命のめぐりあわせ…。そんな喜びを噛み締めながら歩いていると、急にお腹が空いてきたわけで…。ということで「やっぱ北海道に来た
らジンギスカンでしょ!」と決めていた私は、生まれて初めてのマトンを堪能したのでした。その後はシメの旭川ラーメンを食べて、北海道ツーリング1日め終了。旅はまだまだ始まったばかり!
海の駅 ぷらっとみなと市場

今回の旅のひそかな(?)裏テーマが「北海道の美味まんぷく旅」。ということでまずは苫小牧 港近くの『海の駅 ぷらっとみなと市場』で、名物ホッキがのった逢海丼からガッツリいきます!
旭岳/十勝連峰

北海道は関東地方より広いのです(2倍以上)。つまり今日中には最北端まで着けないということを 本日知り…。なので今夜は北海道の都市人口第2位の旭川で宿泊。町の向こうには北海道最高峰の旭岳や十勝連峰の山々がそびえていてビックリ
大雪地ビール館


裏テーマ遂行!『大雪地ビール館』で初ジンギスカン。驚いたことにここの肉は冷凍ではなく生マトン。おまけに地ビール館なので、地ビールの飲み比べだぁ! 全部おいしくて種類も多く、最後はなにがなんだか…
上川倉庫群

一夜明けて宿の前の上川倉庫群で準備完了。「さあ、北極端へ出発だ!」って言ったらなぜか周囲が爆笑…。あっ南極端? あれ…。まっ、いいか。大好きなSRと北海道を走れるんだから
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相棒とともに峠を越えて海岸線へ
相棒に火を入れる2日目の朝。ここからが本格的な旅のスタートだ! キック始動しかないSR400。私がSRにほれ込んだ一番のポイント。キック始動はSR乗りは始めに行なう儀式なのです。私はなんとなく心に迷いがあったり中途半端な気持ちだと、キックを何度してもかからないのです。「ほらSR、今から一緒に走るんだよ、いくよ!」という私自身の、明確で強い意志がなければ動いてくれません。キックでエンジンがかかったときには、バイクに気持ちが通じたかのような、そんな感覚がたまらなくうれしいのです。
旭川から道央道路を走り、着いたのは日本の有料高速道路の最北端の料金所、士別剣淵IC。きれいでまっすぐな道はここで終わり。でも、まだ北海道の真ん中にいる。つまり、ここから稚内市や宗谷岬まではずっと下道だけを走る。私は便利な高速道路より、いろいろな風景に出会える下道を走る方が好き。剣淵町から国道239号に入り、いくつもの峠を越え、海の方へ向かった。大まかに分けると最北端にたどり着くには、海沿いを走るか、山の中を抜けるかのどちらかになるのですが、日本海を見たかった私は、迷わず海沿いのルートを選んだのでした。
相棒のSRのアクセルを開けて峠をグングンと越えていく。峠を越えるときって、なんでこんなにワクワクするんだろう…? 私が道
を切り開いて行くみたい! だけどワインディングロードの走行はまだまだ不慣れで「カーブ怖い…」と思う私はものすごい緊張と集中力で目がバキバキになっていた。多分めちゃめちゃ怖い顔で走ってたと思う。しかしどんなに険しい道でも必ず終わりはやってくる。山を越えた直後、ウワーっと広がった輝く日本海の風景。私は自然と笑顔になっていた。
道の駅 絵本の里けんぶち

私は朝ごはんをお茶碗4杯食べる女ですが、ツーリングは小腹も減 ります。ということで10時のおやつもしっかいただきますけど、なにか?『道の駅 絵本の里けんぶち』で、かぼちゃのシュークリームをいただきました
オロロンライン

旭川からひたすら走り、国道239号でいくつもの峠を越えて、ようやく日本海とランデブーし、北海道を代表する『オロロンライ ン』に突入。オロロンとはアイヌ語でウミガラスなのだとか。あとはこのまま北上あるのみ!
モモちん

遠別(えんべつ)町のマスコットキャラクター、モモンガの『モモちん』見っけ。ちなみに私はモモンガを飼っていて、名前はケンシロウ。地元の人の話では、この遠別町の先から、気温も風もガラリと変わるそうです。冬用のウエアも持ってきてよかった〜
蝦名漁業部(甘えびファクトリー)


おやつから2時間後のお昼は、甘えび水揚げ量日本一の羽幌(はぼろ)町にある『蝦名漁業部(甘えびファクトリー)』です。なんとお店の蝦名さんはヤマハ・ドラックスターのオーナー。ツーリングライダーはぜひ行ってみてネ
オトンルイ風力発電所

遠別町を越えて天塩町に。いよいよサロベツ原野が始まります。門柱がわりのオトンルイ風力発電所の風車の高さは100m。3㎞にもわたり居並ぶ姿はど迫力!
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最北の町で出会った忘れられぬ情景
北海道北西にある長〜い道、オロロンラインをSRとひたすら北上していく。景色はしだいに荒々しく変貌していき、気が付けば西部開拓時代を彷彿させるかのような光景に。そこは、左を向けば荒れた大海原、右を向けば山々が堂々と壁のようにそびえ立っている。それに加えて、激しい波の音、凍えそうな冷たい風、一斉に暴れ出す山の樹々。えっ怖い。いつも身近で当たり前の自然現象が、ここでは壮大すぎて怖かった。でもなぜかワクワクした。都会ではあまり感じられなくなったホントの地球。災害時だけ自然が牙をむいてるんじゃない。そもそもこれが自然なんだ。そんなことをこの北の大地が教えてくれたような気がした。そして、このむき出しの大自然の中で思った。『私は今、北海道を走っている!』

サロベツ原野を抜けて稚内市の稚内村へ入ると民家が現れてくる。そして、第一村人より先にシカと遭遇! しかも1〜2頭ではなく、7頭〜8頭くらいの大家族。警戒心が強いはずなのに、普通に町を歩いてる。え、なんで? 驚く私を横目にシカたちは悠々と歩き去って行った。その後、地元に方に聞いたら、シカはとくに悪さをしないので、町の人にやさしく見守られているそうです。シカはシカられないんですね!

少し走ると、なんと今度はキタキツネ。本当にいるんだ!? 思わずSRを止め、まじまじと眺めた。キタキツネはぴょんぴょんと跳ね回る。私はその姿を遠目に楽しんでいた。しかし、私の存在に気付き、私を見つめると再びぴょんぴょんとどこかに去っていった。それは、時間にするとほんの一瞬の出来事。でも心の中に永遠に覚えていられる、そんな光景だったのです。

もう太陽が海に沈みかかっている。オロロンラインを走り始めたときの太陽は、まだてっぺんにあったのに。こんなにも夢中になって旅をしていると、時間が経つのが本当に早い。1日ってこんなにも短かったっけ? 夕暮れどきには絶対間に合いたかった場所『ノシャップ岬』へと急ぐ。ノシャップとはアイヌ語で「アゴのように突き出た岬」や「波が砕ける場所」という意味があるそうです。そしてノシャップ岬のまん中に時計とともに置かれているのが、可愛いイルカの像。夕焼けで時計とイルカ像がシルエットになり、まるで夕陽を背にイルカが遊んでいるようにみえました。あまりにもきれいなシーン。私はカメラではなく、心のシャッターで胸に刻み込んだ。
ノシャップ岬

行きたかったノシャップ岬に到着。ここは2番めに北の岬です。利尻島の向こうに沈む荘厳な夕陽に、しばし見入ってしまいました。それにしても、この岬はなんて「ノ〜シャップい!(も〜さっむい!)」なーんつってね。さぁ、明日はいよいよ最北端だ!
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北の大地を走り抜け、いよいよ最終目的地へ
今日も朝から元気にSRキック占
い! なんじゃそりゃ。一発でエンジンがかかれば大吉、そのほかは小吉。私が適当に作った遊びなんですが、まぁまぁ盛り上がったのでよし。ちなみに今日の運勢も大吉! 今朝、私は旅館の温泉で朝風呂をいただいたのですが、窓から見事な利尻富士! いつもは海靄がかかって、あまり見れないそうですが、今朝は抜群にきれいに見えました。あまりにきれいだったので、出発前に利尻富士とSRと私で記念撮影。よぉーく見るとその奥に礼文島も見えている。いつか利尻島と礼文島にも行ってみたいなぁ。
日本最北端の駅・JR稚内駅にある路線の最終地点から、さらに消えた線路をたどるように北防波堤ドームへ。わぁ、すごい静か…。ここは少し前まで旅ライダーのキャンプスポットだったそうで、ドームのなかにズラーっとテントを並べて寝ていたそうです。そう教えられても「本当かなぁ?」と思うくらい異次元の雰囲気を感じました。ここはかつて、線路が延び『稚内浅橋駅』という駅だったとか。稚内と樺太を結ぶ稚泊(ちはく)連絡船の発着場でもあり、昔はたくさんの人でにぎわいを見せていたそうです。が、終戦後、樺太が日本領ではなくなったのと同時に、稚泊航路が廃止。それにともない北防波堤ドームも役割を終えました。一時は取り壊し計画もありましたが、町の方々の希望もあり、70年のときを経て現在は北海道遺産に指定され、今でも稚内港を強風や高波から守っています。
北防波堤ドームから、海沿いを東に向かって40分ほど走ると、そこが宗谷岬。この日の北海道は、ニュースになるほどポカポカ陽気で暖かく、すごく気持ちよく走れました。ところが、宗谷島岬到着間際、突然かなりの冷たい突風に吹かれ、一瞬にして凍えそうなほどの寒さに豹変。ひぃ〜、寒すぎる…。しかし、これがこの時期の本当の北海道の寒さなのかも。
利尻富士(利尻山)

サロベツ原野を駆け抜けると利尻島にそびえる利尻山が姿を見せてくれた。その美しい姿から利尻富士と呼ばれ、まるで島そのものが ひとつの山のようです
北防波堤ドーム

最北の町、稚内を象徴する『北防波堤ドーム』。70年前には線路がひかれ、駅があったそうです。すぐ横の岸壁には樺太からの船が着岸して相当なにぎわいを見せたとか。現在は北海道遺産に指定され、樺太と流通があったことを伝えています
稚内駅

「線路は続くよ〜、ど〜こまでも〜♪」といいますが、稚内駅で終了です。かつてはここから北防波堤ドームまでつながってたんだって
北門神社

北の守護神『北門(ほくもん)神社』に参拝させてもらいました。社務所がある神社では最北の神社で、御朱印帳の1ページめに御朱印。最後のページは沖縄の神社になるように旅をしようかしら
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光と影が交差した水平線の風景
宗谷岬の駐車場に着くと、けっこうな人がいました。バイクは私だけでしたが、この人たちはまったく同じタイミングで日本の最北端に来たいわば同志たち! 妙に親近感が湧いてくる。みんなはどこから来たのかな。そして目指す日本の最北端はもう目と鼻の先だ。SRから降り、ゆっくりと歩いて日本最北端の地に立つ。着いた! ここが日本の一番北なんだ。まずは大きく深呼吸。うん! 空気がおいしい!! 宗谷岬からの見晴らしもよく、さらに北の方角を見ると、海の向こうに島が見えた。樺太だ。かつて日本だった島だ。教科書や地図でしか見たことがなかった樺太、目の前にある近くて遠い島。その存在を確認できたときは感極まった。
最北端の碑の、すぐとなりには間宮林蔵の立像。彼は日本が未開拓だった樺太へ調査に行き、樺太がひとつの島だったということを証明した。江戸時代後期、立派な防寒具もなければ持ち運べる非常食もない。無事に生きて帰って来られるかもわからないそんな時代に、単身で樺太へ行くことを決めた。覚悟の眼差しで樺太を眺めている間宮林蔵。決死の思いで自分の人生を生きた男の姿に、思いがけず私は尊敬の念を抱いた。
SRとともに北海道を旅をして、私が見た日本の最北端とは、美しい景色と壮絶な過去。やはりたどり着いたことでしか見られない景色がある、とあらためて感じました。これから先、私はもっと大人になり、私の感性も変わっていくのでしょう。そして再び、このあふれんばかりの魅力を持つ北海道を走ったなら、そのとき私は、今回とは違う何かを感じたり、想ったりするのかな…? そう思うと、これから一生をかけたバイク旅をスタートさせたい。そんな気持ちが芽生えました。
宗谷岬

ついに到達した『宗谷岬』。ここが日本の最北端。海の向こうには、かつて樺太と呼ばれたサハリンが本当にありました。そして、旅が終わってしまう寂しさ、ここまでの道のりを思い出し、思わずこみあげてくるものが…
オホーツクの味覚



ホッケにウニ丼に、毛ガニ…。とにかく味わい続けた海の幸。もはや完全にメインテーマと化していたような。そして「北海道にはおいしいものしか存在しないのだ!」と私は確信しました
※本記事は2019年5月24日発行タンデムスタイルの企画をベースにしています
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